「シャリアピンソース とは」「シャリアピンステーキ 由来」と検索しているあなたは、メニューで見かけるあの名前の正体が気になっているのではないでしょうか。
群馬県伊勢崎市にある伊勢崎”唯一”のハンバーグ専門店「ニクノトモシビ」でも、テーブルにシャリアピンソースが用意されています。この記事では、このソースがどこから来たのかを紐解きながら、ハンバーグとの相性について考えてみます。
実は日本生まれの洋食
シャリアピンという響きから、フランスやロシアの伝統的な料理を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実際には、シャリアピンステーキは日本で生まれた料理です。
誕生したのは1936年、東京の帝国ホテルでした。名前の由来は、ロシアの著名な声楽家フョードル・イワノビッチ・シャリアピンにあります。
歯が痛くてステーキが食べられない
きっかけは、実に人間的な事情でした。
日本公演のために来日し帝国ホテルに滞在していたシャリアピンが、歯を痛めてしまったのです。好物のステーキが食べられない。そんな状況に対して、ホテルの料理長が応えようとしたことから、この料理は生まれました。
求められたのは、柔らかくて噛みやすいステーキです。一流の歌手をがっかりさせるわけにはいきません。
ヒントになったのは、すき焼きだった
ここで料理長が着想を得たのが、日本の料理でした。牛肉とネギの相性が良いすき焼きをヒントに、ネギを玉ねぎに置き換えるという発想に至ったと伝えられています。
薄く伸ばした牛肉を、すりおろした玉ねぎに漬け込む。そして塩とこしょうで味を調えて焼き、その上に炒めた玉ねぎを乗せて提供しました。
洋食でありながら、発想の源は和食にあった。この背景を知ると、シャリアピンステーキがいっそう面白く見えてきます。
玉ねぎが肉を柔らかくする
すりおろした玉ねぎに肉を漬け込むという工程には、きちんとした理由があります。玉ねぎに含まれる酵素にはタンパク質を分解する働きがあり、肉を柔らかくしてくれるのです。
歯が痛い人でも食べられるステーキを、という目的から逆算して考え出された工夫ということになります。美味しさのためだけでなく、目の前の一人のために編み出された技術だったわけです。
本人の許可を得て名付けられた
シャリアピンはこの創作ステーキをたいそう気に入り、滞在中たびたび注文したと言います。
それを知ったホテルの総支配人が本人に許可を求め、この料理を「シャリアピンステーキ」と名付けました。以来、日本の洋食を代表する一皿として受け継がれてきました。
一人の客のために作られた料理が、90年近く経った今も各地のメニューに並んでいる。食文化の面白さが詰まったエピソードです。
ハンバーグとの相性
もともとステーキのために生まれたこのソースですが、ハンバーグとも非常によく合います。
玉ねぎの甘みと酸味がありながら、肉の味を消してしまわない。むしろ肉の旨味を引き立てる方向に働きます。濃厚なソースで覆ってしまうのではなく、肉そのものを味わわせるという性格を持っているためです。
ニクノトモシビのように、A5ランクの国産和牛や厳選した牛タンを使い、牛肉100%でつなぎを使わない作り方をしている店にとっては、相性の良い選択と言えるでしょう。
ニクノトモシビでの使い方
ニクノトモシビでは、テーブルにシャリアピンソースと特製ポン酢の2種類が用意されています。これに加えて、セットにはわさび、柑橘、大根おろしという3種類の薬味が付いてきます。
おすすめの進め方は、まず何もつけずに一口味わうことです。肉そのものの味を確かめてから、塩こしょう、わさび、大根おろしとポン酢と進み、最後にシャリアピンソースへ。薄い味から濃い味へと移ることで、最後まで味覚が鈍らず食べ進められます。
ごはんとの組み合わせも
シャリアピンソースは、ごはんとの相性も抜群です。玉ねぎの甘みと肉汁が合わさったソースは、白ごはんによく馴染みます。
ニクノトモシビではライスを8杯まで無料でおかわりできるため、シャリアピンソースを絡めたごはんという楽しみ方も気兼ねなくできます。味を変えながら食べ進めるうちに、自分なりの黄金比が見つかるかもしれません。
すき焼きから始まり、焼きすきへ
ここで興味深い符合があります。シャリアピンステーキがすき焼きから発想を得て生まれた料理である一方、ニクノトモシビのディナータイム限定の新メニューは「焼きすき」という名前です。
A5ランク和牛の肩ロースを鉄板で焼き、割り下を注いで卵を絡めて食べる一皿です。牛タンハンバーグ・和牛ハンバーグ・焼きすきのセットで3,900円、デザートセット付きなら4,500円。
すき焼きから生まれたソースと、すき焼きの発想を取り入れた新メニューが、同じテーブルの上に並ぶ。偶然ではありますが、日本の肉料理の歴史が一皿の中で交差しているようにも見えてきます。
牛タンと和牛、どちらに合うか
ニクノトモシビには、粗挽きならではの弾力ある牛タンハンバーグと、きめ細やかな霜降りが特徴のA5ランク和牛ハンバーグがあります。
シャリアピンソースは、どちらにも合いますが、性格は少し変わります。牛タンハンバーグに合わせると、玉ねぎの甘みが粗挽きの食感を引き立て、噛むほどに味が重なっていきます。A5ランク和牛ハンバーグに合わせると、脂の甘みとソースの甘みが響き合い、より濃厚な印象になります。
両方を一皿で楽しめる「牛タンハンバーグと和牛ハンバーグ」なら、同じソースでどう変わるかを一度に比べられます。平日ランチ2,500円、土日祝とディナーは2,900円です。
ポン酢との使い分け
テーブルにはもう一種類、特製ポン酢も用意されています。シャリアピンソースが濃厚さを加える方向だとすれば、ポン酢は後味をすっきりさせる方向です。
食べ進めて少し重く感じてきたときにポン酢へ切り替えると、口の中がリセットされます。そしてまたシャリアピンソースに戻る。2種類を行き来することで、一皿を最後まで飽きずに楽しめます。柑橘を絞るのも同じ効果があります。
名前の由来を知ってから食べる
料理の背景を知っていると、味わい方は少し変わります。目の前のソースが、歯を痛めた歌手のために考え出されたものだと知っていれば、口に運ぶときの感覚も違ってくるはずです。
ニクノトモシビでは、自分の鉄板で焼き加減を決められます。柔らかく仕上げるか、香ばしく焼き込むか。シャリアピンソースの由来にならって、あえて柔らかく仕上げてみるのも面白いかもしれません。
セルフコーナーと合わせてさらに広がる
テーブルの2種類のソースに加えて、セルフサービスコーナーにはガーリックチップ、ケチャップ、出汁、卵が用意されており、自由に使えます。卵はお一人につき1つ無料です。
シャリアピンソースに少量のケチャップやガーリックチップを合わせるという楽しみ方もあります。組み合わせは自由なので、自分なりの配合を探してみるのも面白いでしょう。なお、こうしたアレンジはお客様自身が楽しむものであり、公式メニューではありません。
店舗情報とアクセス
ニクノトモシビは群馬県伊勢崎市昭和町1689-4に位置し、20台分の無料駐車場を完備しています。ランチは11:00から14:30(ラストオーダー14:00)、ディナーは平日17:30から21:30、土日祝は17:00から21:30(ラストオーダー21:00)まで営業しており、年中無休です。
よくある質問
シャリアピンソースはどこの国の料理ですか。日本生まれです。1936年に東京の帝国ホテルで考案されました。
なぜ玉ねぎを使うのですか。玉ねぎに含まれる酵素にはタンパク質を分解する働きがあり、肉を柔らかくしてくれるためです。
ニクノトモシビではどこで使えますか。テーブルにシャリアピンソースと特製ポン酢の2種類が用意されています。追加注文は必要ありません。
シャリアピンという名前は人の名前ですか。はい、ロシアの声楽家フョードル・イワノビッチ・シャリアピンに由来します。本人の許可を得て名付けられました。
まとめ|一人のために生まれた味を、自分の鉄板で
歯を痛めた歌手のために、すき焼きをヒントに考え出された一皿。その発想から生まれたソースが、今も日本の洋食を支えています。
ぜひ伊勢崎のニクノトモシビで、炭火焼きハンバーグとシャリアピンソースの組み合わせを味わってみてください。90年前のエピソードを思い浮かべながら食べると、いつもと違う一口になるはずです。